イースターは移動祝祭日

西方教会(カトリック教会・プロテスタント諸教会)では、クリスマスは12月25日ですが、レント(四旬節)の始まる灰の水曜日、イースター、ペンテコステなどはは毎年同じ日ではありません。
イースターを起点日とするこれらの祝祭日は「移動祝祭日」と呼ばれています。
起点日であるイースター(復活祭)は、AD325年のニケア公会議で「春分後の最初の満月の次の日曜日」と決められています。
ただし、当時使われていた暦はユリウス暦という1年が365.25日の暦であったため、1000年も経つと天行との誤差が10日ほどにもなり、イースター決定の基準のズレは教会の重大問題となりました。そこで、教皇グレゴリウス13世により1年を365.2422日とするグレゴリウス暦(現在の公用暦)が1582年に制定されました。この時、イースターの「春分後の最初の満月の次の日曜日」の「春分」というのも(地球上のどこであっても、その地の)3月21日と決められたのです。「満月」も平均朔望周期での14日目を満月の日とし、この計算も実際の天体の運行とは無関係に、暦日だけの計算で行われているのです。
東方正教会ではユリウス暦を使っているので、西方教会のイースターと東方正教会のイースターとは必ずしも一致しません。
また、グレゴリウス暦はカトリック諸国ではほぼ即時採用となりましたが、プロテスタント諸国では教皇に対する反発もあって採用はかなり遅れました。(イギリス 1752年、アメリカ 1783年など)

こちらのサイトで、移動祝祭日の計算ができます。
「19XX年のイースターに受洗したのだけれど、何月何日だったのだろう」とか「20XX年のペンテコステは何月何日だろう」という場合なども簡単に分かります。

グレゴリウス暦となった1582年以降、最も早いイースターは3月22日で、前回は1818年、次回は2285年、最も遅いイースターは4月25日で、前回は1943年、次回は2038年です。

尚、英語では、Easter(イースター)、ドイツ語ではOstern(オステルン)と呼びますが、多くのヨーロッパ語では、ギリシア語のΠάσχα(パスカ、パスハ)に由来する言葉が使われています。
このギリシア語パスカもアラム語のパスハ、ヘブライ語のペサハ(過越しの祭り)から来ており、キリスト教の復活祭が旧約時代の「過越の祭り」を雛形とした祝い日であることを示しています。
イースター、オステルンは、ゲルマン神話の春の女神「オスタラ(Ostra)」(「アウストロ(Austro)」「エオストレ(Eostre)」などとも呼ばれる。)の名前に因む春の到来を祝う祭りに由来していると言われていますが確証はないようです。

余談ですが、日本の祝日としての春分の日(秋分の日も同様)は、国立天文台が作成する暦象年表という小冊子に基づき「翌年の春分の日・秋分の日」が閣議で決定され、これが毎年2月の初旬に官報によって公示されることによって正式に決まるのです。ですから、3年後の「春分の日」(法律上の)は何月何日なのかは未定なのです。

因みに、アドベント(待降節)は、12月25日以前の4番目の日曜日から始まります。
12月25日が日曜日の年は11月27日が、
12月25日が月曜日の年は12月 3日が、
12月25日が火曜日の年は12月 2日が、
12月25日が水曜日の年は12月 1日が、
12月25日が木曜日の年は11月30日が、
12月25日が金曜日の年は11月29日が、
12月25日が土曜日の年は11月28日が、待降節第1主日となります。

教会暦の1年は、待降節第1主日から始まります。