『グッド・ウイル・ハンティング』

1997年 アメリカ
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:マット・ディモン、ロビン・ウィリアムズ
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 俺はチャッキー。「南ボストンに住む労働者階級の若者」ってやつだ。俺にはビリー、モーガン、ウィルって最高のダチがいる。
 ウィルがどんな奴かって? 今は仮釈放中の身だ。MIT(マサチューセッツ工科大学)の清掃員をしてる。家族はいねぇ。親はいつもアイツを殴ってた。最低野郎さ。ウィルは頭が良い。弁が立つんだ。それにはハーバードの秀才野郎だって太刀打ちできねぇ。数学も凄いできるみたいだ。この前、警察の厄介になっちまったアイツは、刑務所戻りと引きかえに、MITの数学博士の「研究のお手伝い」とセラピー通いをさせられてる。博士はつまんねぇ奴らしいが、セラピストのショーンは良い奴みたいだ。そういや最近、ウィルはハーバードの彼女と別れちまったらしい。そんな美人じゃねぇが、ユーモアはあるし、俺らを見下さねぇし、なによりウィルを本気で愛してた。なんであんな良い子を捨てたんだ?
 ウィルは幸せになるべきだ。そうなれる日が来ることを、俺は願ってる。

 虐待によるトラウマのせいで、心を閉ざし生きてきたウィル。傷つくことを恐れ、才能を持て余し、先に進めずにいる。そんな彼にショーンは言う。「君は自分の言葉が分かっていない子供だ。美術の話をすると、君は美術本の知識を。ミケランジェロのことにも詳しいだろう。だがシスティナ礼拝堂の匂いを? あの美しい天井画を見上げたことが?」 彼はウィルの才能を理解し、敬意も払っている。だからこそ、本からの知識だけで真の人生経験がなければ、それは君の物語にならない。そう諭す。これは私たちにも言えるのでは?
 信仰が伴ったとき、聖書の御言葉はより深く、私たちの心に届くのではないだろうか?

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 システィナ礼拝堂とは、バチカン宮殿の中でサン・ピエトロ大聖堂に隣接して建てられた礼拝堂のことである。ロビン・ウィリアムズ演ずるセラピストのショーンが語る「あの美しい天井画」とは、イタリア・ルネサンス期を代表する芸術家ミケランジェロが、旧約聖書の創世記をモチーフにして描いた、今なお世界中の多くの人々を魅了し、深い感銘を与え続けているフレスコ画のことである。






日本キリスト教団出版局『信徒の友』2007年10月号 「ビデオをみる」より修正・転載
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