『Smoke』

1995年 日本・アメリカ
監督:ウェイン・ワン
出演:ハーヴェイ・カイテル、ウィリアム・ハート
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物語を読み始めるとすぐに、事実と虚構、真実と嘘、与えることと受け取ることが織りなす複雑な世界に引き込まれた。
 ── ウェイン・ワン監督
  
 ブルックリンでタバコ屋を営むオーギーは毎日同じ時間、同じ街角の写真を14年間撮り続けている。ある日、彼の前に昔の恋人が現れた。2人の間に娘がいることを彼は知らされる。
 店の常連で作家のポールは妻を強盗の流れ弾で失って以来、文章を何も書くことができない。ある日、車に轢かれそうになった自分を助けてくれた黒人少年を家に招き、助けてくれたお礼に数日間、家に泊めてあげることにする。
 黒人少年は秘密を抱えていた。強盗現場に落ちていた大金を奪ってしまい、ギャングに追われている。そんな彼は、幼い頃に蒸発した父親をやっと探し出すが……。

 昔の恋人ルビーから娘の存在を知らされるも、半信半疑のオーギー。オーギーが撮り続ける写真から、何気ない日常の中にも、"特別な何かは存在する"ことに気がつくポール。ポールにも探し出した父サイラスにも、自分の本名を名乗ることができない黒人少年トーマス。オーギー、ポール、トーマス。この3人を軸に、物語は進んでいく。孤独感に苛まれる彼らは、同じ思いを抱えるルビーやサイラスとの再会を通し、そして自分を見つめなおすことによって、互いに思いを伝え合い、共に生きる喜びに気づかされていく。
 この映画の原案は1990年のクリスマス、ニューヨーク・タイムズに掲載された小説家ポール・オースターの短編『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』である。苦味と希望がミックスされたそのクリスマス・ストーリーは映画の後編、オーギーが自らの体験談として、ある人物に語りかけるものだ。この寓話的な体験談に、あなたは何を思うだろう。
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 クリスマスを機会に、聖書に初めて触れる方もきっと多いことでしょう。聖書には史実的な要素の高い文章と、例え話や寓話的な要素の高い文章が、1冊に収められています。初めて聖書をお読みになる時、史実的な文章に対してなら、すんなり理解できることも多いでしょうが、例え話や寓話のような文章を理解することは、なかなか難しいかもしれません。しかし、一見本当に起こった事とは(または起こりうるとは)信じ難い文章の中にも、真実は隠されているのです。ですから、聖書は1回だけではなく、何度も繰り返しお読みください。そして、キリスト教への理解と信仰を深めるため、教会にもお越しくださると幸いです。
     
日本キリスト教団出版局『信徒の友』2008年12月号 「ビデオをみる」より修正・転載
この転載については、日本キリスト教団出版局の許可を得ています。
日本キリスト教団出版局 公式サイト :  http://www.bp.uccj.or.jp/index2.html
  

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