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風貌は兎に角、サンタをそれまでの聖ニコラウスから決定的に変革させた事件がありました。
それは、1823年12月23日、ニューヨークの地元新聞のトロイ・センチネル(The Troy Sentinel)紙に作者不詳のまま掲載された「クリスマスの前の晩または聖ニコラウスの訪問」('Twas the Night Before Christmas or Account of a Visit from St. Nicholas)という詩です。
この詩は掲載された途端、爆発的に全米に広がり、知らない者のない程でした。

この詩により、サンタは神聖で厳格な聖人から陽気で愉快な太っちょの小人に変身し、「クリスマスイブに」「8頭のトナカイの引く橇に乗って」「煙突から入ってきて」「子供たちにプレゼントを配る」サンタのイメージが定着したのです。

この詩の作者は、長い間、神学者のクレメント・クラーク・ムーア(Clement Clark Moore)とされていましたが、今世紀になってから、この詩の真の作者は、ヘンリー・リビングストン・Jr (Henry Livingston Jr.) (1748-1828)であったと主張されています。


'Twas the Night Before Christmas
or Account of a Visit from St. Nicholas

'Twas the night before Christmas, when all through the house
Not a creature was stirring, not even a mouse;
The stockings were hung by the chimney with care,
In hopes that St. Nicholas soon would be there;

The children were nestled all snug in their beds,
While visions of sugar-plums danced in their heads;
And mamma in her 'kerchief, and I in my cap,
Had just settled down for a long winter's nap,

When out on the lawn there arose such a clatter,
I sprang from the bed to see what was the matter.
Away to the window I flew like a flash,
Tore open the shutters and threw up the sash.

The moon on the breast of the new-fallen snow
Gave the lustre of mid-day to objects below,
When, what to my wondering eyes should appear,
But a miniature sleigh, and eight tiny reindeer,

With a little old driver, so lively and quick,
I knew in a moment it must be St. Nick.
More rapid than eagles his coursers they came,
And he whistled, and shouted, and called them by name;

"Now, DASHER! now, DANCER! now, PRANCER and VIXEN!
On, COMET! on CUPID! on, DONDER and BLITZEN!
To the top of the porch! to the top of the wall!
Now dash away! dash away! dash away all!"

As dry leaves that before the wild hurricane fly,
When they meet with an obstacle, mount to the sky,
So up to the house-top the coursers they flew,
With the sleigh full of toys, and St. Nicholas too.

And then, in a twinkling, I heard on the roof
The prancing and pawing of each little hoof.
As I drew in my hand, and was turning around,
Down the chimney St. Nicholas came with a bound.

He was dressed all in fur, from his head to his foot,
And his clothes were all tarnished with ashes and soot;
A bundle of toys he had flung on his back,
And he looked like a peddler just opening his pack.

His eyes -- how they twinkled! his dimples how merry!
His cheeks were like roses, his nose like a cherry!
His droll little mouth was drawn up like a bow,
And the beard of his chin was as white as the snow;

The stump of a pipe he held tight in his teeth,
And the smoke it encircled his head like a wreath;
He had a broad face and a little round belly,
That shook, when he laughed like a bowlful of jelly.

He was chubby and plump, a right jolly old elf,
And I laughed when I saw him, in spite of myself;
A wink of his eye and a twist of his head,
Soon gave me to know I had nothing to dread;

He spoke not a word, but went straight to his work,
And filled all the stockings; then turned with a jerk,
And laying his finger aside of his nose,
And giving a nod, up the chimney he rose;

He sprang to his sleigh, to his team gave a whistle,
And away they all flew like the down of a thistle.
But I heard him exclaim, ere he drove out of sight,
"HAPPY CHRISTMAS TO ALL, AND TO ALL A GOOD-NIGHT!"




クリスマスの まえのばん

クリスマスの まえのばんのことでした
いえのなかは ひっそり しずまりかえり
なに ひとつ
ねずみ いっぴき うごきません。

セントニコラスが はやく くるように と
ねがいを こめて
だんろの そばに くつしたが
だいじそうに かけられています。

こどもたちは ベッドの なかで
すやすやと ねむり
ゆめの なかで いろいろな
さとうがしが おどっています。

かあさんは スカーフであたまを つつみ
とうさんは ナイトキャップを かぶり
ながい ふゆの よるの
ねむりに ついたところでした。

そのときです。 そとの にわで
たいそう にぎやかな おとが しました。
とうさんは なにごとだろうと
ベッドから はねおき・・・

まどべに
さっと かけよると
よろいどを おしひらき
まどを あけました。

ふったばかりの ゆきのうえに
でた つきが
あたりを まひるのように
てらしていました。

ふしぎそうに みまわす
とうさんの めに うつったのは
なんと ちいさい そりと
八とうの かわいい トナカイでした。

ぎょしゃは げんきな
こびとの おじいいさん
とうさんには すぐ わかりました
セントニコラウスに ちがいない とね。

ワシよりも はやく
トナカイたちは やってきます。
セントニコラスは くちぶえ ふいて
さけんで います。 おおごえで なまえを よんでいます。

そらいけ ダッシャー ! それいけ ダンサー !
そらいけ プランサー !
つづけ ビクセン!
とべ コメット ! とべ キューピッド !
とべ ドンダー !
つづけ ブリッツエン !
ポーチの うえまで
かべの うえまで
そら かけあがれ ! かけあがれ !
ちから あわせて かけあがれ !

あらしに
かれはが まうように
トナカイたちは じゃまもの とびこえ
そらたかく まいあがり

おもちゃの やまと
セントニコラス のせた そりひいて
やねの うえまで とびました。
とうさんが はっと するまに
やねの うえで とんだり はねたりする
かわいい ひづめの おとが きこえます。

とうさんが あたまを ひっこめ
ふりむいた ちょうど そのとき
セントニコラスが えんとつから
まりが はずむように とびだしてきました。
あたまの さきから あしの さきまで
けがわの ふくを きていましたが
どこから どこまで
はいだらけ すすだらけ・・

かたに せおった
ふくろを おろし
おもちゃを とりだす そのさまは
ものうりの おじさんみたいです。

りょうめの なんと くりくり してること !
えくぼの なんと たのしそうなこと !
ほおは バラのよう
はなは サクランボそっくり !
おどけた ちいさな くちを
きゅっと しめ
あごひげは
ゆきのように まっしろ。

パイプを
しっかり くわえ
のぼる けむりが あたまの まわりで
はなかんむりのように ゆらいでいます。

ちいさい からだに おおきな かおで
かわいい おなかを しています。
わらうたびに まるい おなかは
ボウルに いれた
ゼリーのように ふるえます。

まるまる ふとった
ほんとに ゆかいな こびとの おじいさん。
とうさんは おもわず
わらってしまいました。

くびを ちょいと まげ
かための あいず。
とうさんは とても たのしい
きもちに なりました。

おじいさんは ひとことも いわないで
すぐに しごとに かかります。
くつしたに いっぱい おくりものを つめると
くるりと からだの むきを かえました。

それから ひとさしゆびを
はなの よこに ちょいと あて
こくんと うなずくと えんとつに もぐりこみ
のぼっていきました

そして そりに とびのり
トナカイたちに あいずの くちぶえ
みんな そろって アザミの わたげのように
そらに とんでいきました。

セントニコラスのすがたが きえる そのときです。
とうさんに きこえました げんきな こえ

『みなさん クリスマス おめでとう !
しあわせな よるに なりますように !』
わたなべしげお訳 「クリスマスのまえのばん」(福音館書店)


あれっ?と思った方がいらっしゃるかもしれません。
そうです。「クリスマスの前の晩」には、ご存知の赤鼻のトナカイのルドルフがいません。
ルドルフが加わるのは100年以上後の1938年です。
シカゴの通販会社モンゴメリー・ウォード社でコピーライターの仕事をしていたロバート・L・メイは、娘のバーバラにせがまれて寝物語に赤鼻のルドルフの話を創作しました。メイはそれを手作りの本にして娘にプレゼントしたのですが、その年のクリスマスに会社のクリスマスパーティーで余興に彼のルドルフの物語を披露したのです。
これが大好評で、翌1939年に会社から"Rudolf the Red-Nosed Reindeer"として出版され、ご存知の同名の曲が生まれる1949年までの10年間で600万部という大ヒットになったのです。

ご存知の同名のクリスマスソングは、ロバート・L・メイの義弟のジョニー・マークスがメイの物語をもとに作詞作曲したものです。

下のルドルフをクリックすると。。。。。。

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